走り美 Quality Of Running
走り美 Quality Of Running

過去に参加したマラソン大会のレポート

2014年2月23日(日)

そうじゃ吉備路マラソン2014

フルマラソン男子B組の部
 記録 4時間58分39秒

最後まで走り切ることができた。

2度目のフルマラソン挑戦となった走り美。どんなに練習を積んだとしても、どんなに屈強な肉体を持っていようとも、どんなにベテランでも必ずゴールできるわけではないことを、はじめてのフルマラソンで目の当たりにした。

何度も立ち止まり、走っては歩いてようやく辿り着いた初マラソン。歩く時間が長くなった最終盤は残り数キロがこれまでの道のりより遠く感じられた。

完走は涙が出るほど嬉しかった。でも自分のなかで完全に走り切ったとは言い難く、うれしさ半分で課題を残すこととなった。だからこの大会では、とにかくゴールまで走り続けることを大命題とした。

2度の積雪に見舞われたこの2月の寒さは厳しいというものではなかった。まず、積雪ということが珍しいのに、それが2度までも。もう信じられへーん。その寒さがようやく緩み、フルマラソンを走るにはちょうど良い頃合いだったのではないだろうか。昼になると日差しが強くなり、手持ちのドリンクでは間に合わないくらい喉が乾いた。

そうじゃ吉備路マラソン2014 フォト1

暑い夏と寒い冬を越えて蓄えたチカラを発揮するときがきた。過去最高の参加人数となった今大会、フルマラソンとハーフマラソンの同時スタートに統一され、スタート地点に立った時その人の多さに驚いた。

ほほぉ、この満員電車に乗っているような感覚、懐かしいなぁ。なんてノスタルジーに浸っている場合でもなく、スタートしても一向に前に進まない。これで僅差で記録更新に及ばなかっただなんて恨み節は言うまい。のんびりスタートは日常の延長線上にある走りを標榜する走り美にとってむしろ喜ばしい。

なにやらけん玉をしながら走っている人がいる。けん玉ブーム再燃がこんなところにもと驚き、そもそもフルマラソンを軽く走ることができるというポテンシャルあってのけん玉走法に2度驚く。

あぁ、ぼくにもこんな日が訪れるのだろうか。ネットサーフィンをしながらフルマラソンみたいな。スタート地点には時代が映る。みんなiPhoneになった日、自分実況中継が始まった。

体をコンパクトに、走りもコンパクトに進むもやはり接触することしばしば。ようやくそれも過ぎる頃、五重塔が見えてきた。沿道に応援の人たちが見える。五重塔を見据えるカメラマンたちも。和太鼓がドンドコドンドコ、いやズンドコドンズコ、いや、まぁいっか。体の奥から沸き上がる鼓動、奮い立つ感じ。太鼓ってなんか元気になりますね。

ひと通りイベントが通り過ぎハーフマラソンと分岐で分かれるといよいよ集中が高まる。ふたたび五重塔に戻ってきた。昨年とはコースが微妙に変わってる。日常の 走る のおかげか、20km付近まで順調に進んでいた。

ここでエネルギー補給、ワイフからおにぎりを渡してもらう。これからが本当のフルマラソンだ。20km地点に到着すると両足にドシっと疲労感が出てきた。おにぎりをもらったときのような元気はもう薄らいでいる。日頃の練習として15km超をランの目安としていた。だから練習通りといえばその通りである。

そうじゃ吉備路マラソン2014 フォト2

確実に走れる15kmを体に覚え、これがフルマラソンにどう活かされるかその問いがわかるときがきた。ハーフマラソンを走るような瞬発力ではない持続力を得るために走りのイメージを矯正している。

柱を背に足上げ、柱を右に足上げ、柱を左に足上げとブレない走りのイメージを高めている。バランスをとって足を振り上げることができるようになり、両足の内側にチカラを込めることができるようになった。

これまで外側にチカラが流れていたため、足裏もふくらはぎも足の付け根も外側に疲労がたまっていた。内側の筋肉に疲労感が出るようになったのは、チカラが外に逃げず、走りにチカラが燃焼されているといえる。

心なしかO脚だった足はピンとし、繰り返し前に出す足がコンパクトに動くようになった。およそ1年をかけてこの走りを得るため挑戦し続けている。その変化のプロセスにおいて右ひざ内側周辺に痛みがしばらく続いた。内側の筋肉にも痛みが生まれるようにもなった。

新たな走りが得られなければ、この痛みは単なるケガということになってしまう。不安と期待が入り交じる挑戦であった。1年越しに痛みが消えて、今は胸を撫で下ろしている。

30km地点に到達した。やはりガス欠感は否めない。この感じ、昨年の30km地点と体の状態はさして変わりない。ひとつ違うことは「この感じ」をすでに知っているということ。こうなることはわかっていたのだから心の準備はできている。

適宜水分補給、エネルギーチャージ、トイレ休憩、これらを怠るべからずと念頭に1年を経て、それでも残り10kmはこんなにもキツかったのかと思い出し、思わされた。前回大会で吉備路マラソン30km地点からゴールまでの道のりはあまり見たくない景色として記憶されてしまった。それを払拭するためにもしっかり走り抜きたい。

そうじゃ吉備路マラソン2014 フォト3

ここで勇気を出してギアチェンジする。足上げにこだわる走り美はひとまずお休みして、歩くほうが速いんじゃないの走法にチェンジした。これは初フルマラソンの最終盤に編み出した走法で、どうせ足が上がらないのなら、いっそそのまますり足のごとくトボトボと体重移動を繰り返して進んでみてはと考えた。

さかのぼることハールマラソン初挑戦、その原形を見出している。このときばかりは本当にチョウチョを追いかける親子よりも前に進んでいなかった。

走り続けることにこだわる走り美にシフトして気持ちも新たに再スタートである。おそらく最初の20kmを2時間、次の10kmを楽観視して1時間ちょっと、大幅にスピードダウンして、あと10kmを90分でなんとかと考えていた。

「まだ間に合う、ガンバレ」
「5時間を切れるぞ!」

沿道からランナーたちへ応援の声がする。
いやいや、5時間に間に合うってどう・ユー・KOTO!

歩みを止めることなくここまで走り続けてきた。その結果が休みやすみで走った昨年と同じタイムで肉薄しているだと!?耳を疑わざるをえなかった。

確かにシビレこそなかったものの体中に痛みがありギリギリの状態。段差のないフラットな道にもかかわらずつまづいて、足先から腰にかけての筋に激痛が走った。

もはや、これまでか。そんなときファミリーの声援がチカラになるんですね。ゴールまで一緒に走ってくれようとするチビッコたちに思わずうるっと。

ゴール頭上に設置されたストップウォッチに目をやると、無情にも4時間58分の数字がカウントされていた。あぁ、自己ベスト更新ならずか。単純にショックだったけど、同時にこれが現状のまじリアルなチカラなんだなって認識できた。

次なるフルマラソンではもっと力強く、もっと確実にゴールすべく、走り美はこれからも走っていきたいと思う。