走り美 Quality Of Running
走り美 Quality Of Running

過去に参加したマラソン大会のレポート

2013年10月20日(日)

第32回蒜山高原マラソン全国大会

ハーフマラソン39才以下男子の部
 記録 1時間57分06秒

雨の蒜山、レイニーヒルゼンであった。

これほどまでに雨が降ったのは、走り美史上はじめてのこと。僕のマラソン大会晴れ伝説は儚くも幻想となった。これまで前日雨だったとしてもなんやかんやでスタートする頃にはあがり、むしろ日差しが強いぐらいであった。

必ず雨はやむ、そう信じていた。

それがどうだろう。会場に近づくにつれ雨が次第に強くなっていく。例のごとく前日入りしていた僕とワイフはまだ雨がやむものだと疑わなかった。駐車場に到着してしばらく車のなかで待機するも雨は降り続く。

第32回蒜山高原マラソン全国大会 フォト1

さすがに一度は様子見がてらスタート地点まで行ってみようと傘をさして参加賞を受け取りに出かけた。ワイフはというと、かつてないほどすこぶる体調が良いと意気揚々としている。今からそんなにテンションを上げないほうがいいのではと助言するも止まらない。

ところがどうだろう。駐車場まで戻ってくると雨が靴のなかまで浸透して足先がビチャビチャになったらしい。かつてないほどの落ち込みよう。暑いときも寒いときも元気だけが取り柄のワイフが見たこともない意気消沈ぶり。僕の持ってきた靴でなんとか事なきを得たが、この雨のなか走ることはもはや確定的となった。

スタートぎりぎりまで、体を冷やさないよう車のなかでそのときを待つことにした。日常の走りのなかでふいに雨に打たれることはしばしばある。だから全天候型の走りを標榜する走り美にとって、雨のなかを走ることはそれほど苦にはならないと自負している。

第32回蒜山高原マラソン全国大会 フォト2

しかし、走り出すまでをどう過ごすか、すべては晴天ありきで準備ができていない。楽観的というかなんというか晴れ伝説に頼りすぎていたようだ。

スタート位置について見渡すと、ナイロン袋を合羽代わりにしている人がチラホラ見受けられた。あぁ、なるほどそんな方法もあるんだ、感心してる場合ではない。

もうしっかり体は雨に濡れている。この雨が走りにどう影響するかまったく未知であった。それでもこんなときこそ走り美に忠実に、惑わされず確実に歩みを進めようと意識を高めた。雨が降っていようとなかろうと能力に大差は表れない、得られる結果も。だから、今もっとも注力している走りに挑戦したい。

それは、足の付け根から太ももにかけて振り上げる足上げである。足上げを意識することで、足がいつまでも後ろに残ることなく体重移動がスムーズに行えるイメージだ。これにより両足の内側にチカラが入るようになった。

これまで外側、足裏では小指側に、チカラが外に逃げていたように思う。内側にチカラを貯めることでより力強い走りができるようになった。

昨年よりしばらく続いた右ひざ内側周辺の違和感つまり痛みは、この変化のプロセスとして受け入れていた。今まで使っていなかった筋肉が躍動しはじめたのだと。もしそうでなければ大問題、ケガかもしれない。期待と不安が表裏一体となったエブリデイであった。

雨のなか、最初の心臓破りの坂を越えても歩みは、走りはしっかりとしている。体は濡れ、靴のなかもグチャグチャと音が聞こえてくるようであった。

いつもなら僕を残して先を急ぐランナーの背中ばかりを見ていた。というよりは僕のペースダウンが誰よりも早かったというわけで。

しかし、今年はそれを感じない。むしろ先を進むランナーに追いつき、追い越す勢いである。折り返し地点を過ぎてもなお足が前に出ている。このとき、前後を行ったり来たり同じく進むランナーから声をかけられた。「いい感じに走ってますね」みたいな言葉を。

走りながら話しかけられる体験がなかったもので、声がすぐに出ずうまく返答できなかった。そう言われてみると今日の僕のグイグイ感はかつてないほど。今一度横に並んだときはお礼を言いたいと思い、感極まって「今日のぼく、調子良いです」と口走ってしまった。

天候はどうであれこの感じ、自己新記録1時間55分をうかがうほどと自信すらあった。結果は55分どころか記録更新にも及ばない。あぁ、あんなこと言わなければよかった。思い出し恥ずかしいである。

第32回蒜山高原マラソン全国大会 フォト3

しかし、記録更新とはいかないものの自己ベストに迫るタイム。着実に、確実に 走り美 の地力は向上しているといえる。

残念なことがひとつ。あんなに雨が降っても、靴のなかから音がするくらいビチャビチャでも、走りは不変だったにもかかわらず、ゴール手前ラストスパートとのぞんだグラウンドは雨でぬかるみ、まるでオアシスのようにデカイ水たまり、それを目の前にひるんだ僕の足はうわずり地に足がついていなかった。真夏の砂浜に裸足で駆け出してアッツあっつみたいな最後であった。

まだまだ全天候型・全方位型 走り美 の道は遠い。